■ (笑)や顔文字の使用                  
 インターネット上のテキストでは、書き手の感情を表すために、
 (笑)、(汗)、(爆)や顔文字などの記号を使ったモノが溢れています。
 かくいう私も、文章をおもしろくするための手段として、
 これらの記号を使っています。
 文字にしにくい感情を、視覚的に表現するための便利な記号ですよね。

 しかし、仕事などの実務文で、
 (笑)や顔文字といった記号を使うのは危険です!

 例えば、仕事を受注した側が、依頼者に対して

 ご依頼、承りました(*^▽^*)
 期日までに完成できるよう、全力を尽くさせていただきます(笑)。
 それでは商品ができしだい、また改めてご連絡いたしますm(_ _)m 
  
 などというメールを送ったら、依頼者は「大丈夫なの?」と不安になるでしょう。

 (笑)や顔文字は、「軽い」のです。

 友人相手や趣味の場では、友好を示すための良き手段となりますが、
 仕事の場では、「馴れ馴れしい」「ふざけているのか?」
 という悪い印象を与えかねません。
  
 小説の文章に、(笑)、(汗)、(爆)や顔文字などの記号を使うのも御法度です。

 登場人物の感情を表現するのなら、
 これらの記号に頼るのではなく、キチンとあなたの言葉で描写してください。

●例
× そりゃあ失敗するわけだよな(笑)。
○ そりゃあ失敗するわけだよな。俺は笑いを噛み殺すのに必死だった。

× 「実はさ、彼氏にふられちゃったんだ(涙)」
○ 「実はさ、彼氏にふられちゃったんだ」
   気丈を装っていたが、私の声はわずかに震えていた。

× あの娘、かわいいなぁ、 (*´Д`)ハァハァ。
○ あの娘、かわいいなぁ。
   ボンヤリと彼女を見つめる俺の脳内で、バラ色の妄想が花咲く。

 小説の登場人物の感情、心の機微は、
 (笑)や顔文字などの安直な記号では決して表現できません。
 これらの記号を使った時点で、登場人物の感情を描くことを放棄したと思われ、
 読者は確実に去っていきます。


■ 「……」を多用しない                     
 文章に余韻や含みを持たせるため、
 語尾に「……」という記号、三点リーダーを使うコトがあります。
 これを使うことは悪くないのですが、

 多用すると鬱陶しい上、テンポが悪くなり、
 作者が自分の文章に自己陶酔しているように見えてしまいます。

 小説の文章を例に挙げてみましょう。

●悪い例
 俺は彼女のことを、ボンヤリと見つめていた……
 胸元に大きなリボンの付いた赤いケープに、白いスカート……
 すらりと伸びた足は、タイトな黒いニーソックスで覆われている……
 腰まで届く長い亜麻色の髪は、丹念にキューティクルケアされて輝き、白いリボンのアクセントに添えられていた……
 人目を惹く強烈な美しさはないが、野原を飛び回る蝶にも似た可憐さがある……
 
●改善例
 俺は彼女のことを、ボンヤリと見つめていた……
 胸元に大きなリボンの付いた赤いケープに、白いスカート。すらりと伸びた足は、タイトな黒いニーソックスで覆われている。
 腰まで届く長い亜麻色の髪は、丹念にキューティクルケアされて輝き、白いリボンのアクセントに添えられていた。
 人目を惹く強烈な美しさはないが、野原を飛び回る蝶にも似た可憐さがある。
 
 「……」は、文章に余韻や含みを持たせたい、
 ここぞという場面で使うようにしてください。
 多用すると逆効果となり、文章が読みづらくなります。